賢いローン計画(繰上げ返済)
2004年3月 作成 |
●繰上げ返済とは?
毎月、住宅ローンの返済の為に、最初に決めた額を支払いますが、ある程度まとまった貯金ができた場合それを臨時に返済に充てることによって、支払う予定の利息を軽減することができます。この返済のことを繰上げ返済といいます。繰上げ返済には、ローン残高全額を完済する「全部繰上げ返済」と、残高の一部を返済する「一部繰上げ返済」があります。ローンを借りてすぐ完済することはまずないでしょうから、ここでは「一部繰上げ返済」(以降、繰上げ返済と記述)について説明していきます。
また、繰上げ返済の方法として、月々の返済額をそのままで、返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類があります。通常「期間短縮型」の方が、同額を繰上げ返済した場合効果が高いですので、返済額が多いと感じていない限りは「期間短縮型」を実施します。金利が上昇したり、不況やローンシュミュレーションの誤算により月々の返済が苦しくなった、あるいは苦しくなりそうな場合は「返済額軽減型」を実施するのが良いでしょう。ここでは、「返済額軽減型」について取り上げます。
現在は低金利で銀行に貯金しておいても、貯金の利息はいっこうに増えないので余裕があるなら繰上げ返済を行って少しでもローンの利息を低減するのが賢いローン計画と言えるでしょう。
※更に詳細は All About 住宅ローン を参考にしてください。
●繰上げ返済のしくみ
毎月の返済額が一定の元利均等返済でローンを組んでいる場合に、期間短縮型で繰上げ返済を実施した場合を例にあげて解説します。下図のように毎月の返済が一定ですが、利息と元金はピンクと黄色の境目の曲線となっており、期間初期は返済額のほとんどは利息に充てられます。
長いローン期間中に2回の繰上げ返済を実施した場合を例にあげます。例えば、100万円繰上げ返済をした場合、「利息+元金」で100万円分を返済したことになるのではなく、元金分のみに100万円全額適用されます。図で説明すると、Aの部分が100万円だとすると、元金であるAに上乗せされている分の利息@もAの返済とともに返済したことになります。元金Aが100万円だとすると、利息@は300万円ほどになるので100万円を返済したら実質400万円ほど返済したということになります。非常にお得なようですが、それだけ利息に大きな金額持っていかれているという解釈もできます。
同じ100万円を、ローンも半分以上終わった頃に繰上げ返済した場合Cの元金部分に対する利息Bは@に比べると非常に少なく、100万円の繰上げ返済で170万円ほどしか返済したことにはなりません。これは何を意味しているかというと、毎月の返済で利息分の割合が大きい時期に繰上げ返済を実施した方が、お得であるということです。
そして、2度の繰上げ返済を行うと@〜Cの元金と利息を返済したことになる為、その分のグラフを縮めると上のようになり期間がぐっと短くなります。大雑把な説明ですが、繰上げ返済の効果を理解していただけたかと思います。
複数のローンを借りている場合は、一般的に以下の順で繰上げ返済をすると効果が大きいといわれています。
1、金利の高いローン
2、変動金利のローン
3、返済期間が長いローン
4、借入残高が多いローン
あくまで、一般的な目安ですので実際シュミュレーションしてみるのが確実です。変動のものに関しては、将来の予想が難しいので早めに返済する方が安心でしょう。効果の大きさと、安全性を天秤にかけて判断する必要があります。
※更に詳細は All About マネー を参考にしてください。
●繰上げ返済の実施(第1回)・・・2002.12
繰上げ返済の基礎知識を身に付いたところで、実際に繰上げ返済を実施してみました。
2002年10月に一条工務店より預かり金の精算ということで、過剰に支払っていた分が戻ってきました。その額、驚きの280万円です。こんなに余分に請求されてたというのも、誤差のうちなのかよく分からないんですが戻ってきたのでここぞとばかりに繰上げ返済へ!
繰上げ返済は一条からお金が戻ってきた2ヶ月後の2002年12月に実施しました。ローンは住宅金融公庫と地元の銀行で3年固定と5年固定の3種類のローンを組んでいますが、今回は最も借入額の多くて金利の高い住宅金融公庫のローンの繰上げ返済を実施することにしました。ちなみに住宅金融公庫のローンを組んだときの金利は、2.6%(〜10年)・4.0%(11年〜)でした。
【結果発表】
返済額 : 290万円 金利 : 2.6% (4.0%)
・ 最終返済日 平成49年8月 ⇒ 平成40年2月 (9年6ヶ月の短縮) ・ 効果 700万円分の返済に相当(元金290万円/利息410万円) ということで、410万円分の利息が吹き飛びました。しかも、返済期間が9年半も短縮され効果覿面です。
※住宅金融公庫は100万円から繰上げ返済が可能です。手数料が1回当たり3150〜5250円かかります。
●繰上げ返済の実施(第2回・3回)・・・2004.1〜2004.2
マイホームに住んで1年半が経過しました。うちの会社は、この不況にも関わらず、ボーナスカットや残業規制などもなく給料を支払ってくれているのと、住宅ローン控除による所得税の還付などにより繰上げ返済に回せるお金が150万円程貯まりました(2004.12)。
前回の繰上げ返済で効果の程を知ったので、第2回の繰上げ返済を実施することにしました。ただ、今回は更に以下の事項も考慮に入れて慎重にシュミュレーションしました。
12月に繰上げ返済の実施を考えたのですが住宅ローン控除が絡む為、12月の残高を減らすよりも来年1月に実施した方が得になるということ。
150万円の繰上げ返済を考えましたが、地元の銀行の繰上げ返済手数料が100万円以下なら5千円、100万円以上なら3万円とかなり額に差がある為、今月は99万、来月残りというように分けた方が得になるということ。
【結果発表】
返済額 : 99万円 金利 : 2.3% (5年固定)
・ 最終返済日 平成48年11月 ⇒ 平成43年9月 (5年2ヶ月の短縮) ・ 効果 223万円分の返済に相当(元金99万円/利息124万円)
返済額 : 78万円 金利 : 2.3% (5年固定)
・ 最終返済日 平成43年9月 ⇒ 平成40年1月 (3年8ヶ月の短縮) ・ 効果 158万円分の返済に相当(元金78万円/利息80万円)
<合計>
返済額 : 177万円 金利 : 2.3% (5年固定)
・ 最終返済日 平成48年11月 ⇒ 平成40年1月 (8年10ヶ月の短縮) ・ 効果 381万円分の返済に相当(元金177万円/利息224万円)
今回、最も金利の高い公庫ではなく地元の民間の銀行のローンを繰上げ返済した理由に、5年固定である為その後の金利が不安という理由と、一つを完済することに絞るのではなく全てのローンがほぼ同時期に終了するように繰上げ返済の計画を立てる方がベターという理由からです。
●最後に・・・
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